「入会すると安く買えるので他人に売れば儲かる」などと会員に誘い商品やサービスを売買する取引。連鎖販売取引。特定商取引法では、連鎖販売業を(1)物品の販売(または役務の提供等)の事業であって、(2)再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を、(3)特定利益が得られると誘引し、(4)特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む)をするもの、と規定する。複雑で多様な契約形態をとるものが多いが、入会金、保証金、サンプル商品、商品などの名目を問わず、取引を行うために何らかの金銭負担があるものは、すべて連鎖販売取引に該当する。組織がピラミッド型に広がりやすい点は、違法な無限連鎖講(ネズミ講)と類似する。集めたお金を配当するだけのネズミ講は会員の勧誘に行き詰まれば破綻するが、化粧品や健康食品など、商品が介在するマルチ商法は勧誘や広告方法は法規制されているものの、20年以上続く業者も少なくない。それ自体が違法というわけではないが、「必ず儲かる」などと大げさでしつこい勧誘になる危険性と隣り合わせで、全国の消費生活センターに寄せられる苦情は例年2万件を超える。