法人形態によって農業を営むもので、農事組合法人と会社法人の2種がある。また「農業経営を行うために農地を取得できる法人」である農業生産法人と、それ以外の一般農業法人に区分できる。1999年7月成立の食料・農業・農村基本法に「農業経営の法人化の推進」(第22条)が明記されたことから、(1)新規就農の受け皿、(2)農村社会の活性化、(3)経営の円滑な継承等のメリットが期待される法人経営への関心が高まった。経営管理能力や資金調達力、取引信用力の向上、雇用労働関係の明確化や労災保険などの適用による労働者の福祉の増進、新規就農者の確保が容易等の利点も指摘される。2007年ごろまでの企業の農業参入例は食品産業や中小の地方建設業などがほとんどであったが、08年以降は、さまざまな分野からの大企業の参入が増加している。特に流通・サービス業分野では、(1)安心・安全への取り組み、(2)低価格で安定的な農産物調達ルートの確保、(3)リサイクル・環境保全・食育などのアピール、を目指し、イトーヨーカ堂とイオンの2強が農業生産法人に参入したことは、農業に構造変化をもたらす可能性があると指摘されている。