追及権とは、絵画などの美術品の転売ごとに、著作者たる芸術家が作品売価の一部の支払いを要求できる権利であり、フランスで1920年代に生まれた。絵画などの美術品の多くは一点ものであり、音楽や文学などの著作物のようにオリジナルを複数流通させることができず、印税収入なども制度化されていない。したがって、美術品は一度著作者の手元を離れると、後に価格が高騰しても著作者が利益を得ることが非常に困難となる。特に、無名時代に創作した絵画などが著作者の死後に高騰した場合は、その遺族は利益を得ることが全くできない状況になる。文学などであれば、発行部数等に応じた利益を遺族が相続できるのに対し、美術品だけは、後に何も発生しないのは問題であるということから議論がはじまったともいえる。追及権は主にヨーロッパにおいて制度化されているが、日本、カリフォルニアを除くアメリカ、中国においては制度化が進められていない。追及権を制度化するための具体的な利点がはっきりしないことが理由となっている。