核兵器開発にかかわる物資や技術の秘密ネットワーク。2004年2月に、パキスタンの「核開発の父」といわれるアブドル・カディル・カーン博士が1980年代末からリビア、イラン、北朝鮮に核技術を提供してきたことを明らかにし、パキスタン自身も核の闇市場を通じて核兵器を開発したことを認めた。そこには北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカの30以上の企業が関連している。2006年2月には、日本の精密測定器メーカー「ミツトヨ」が不正に輸出した、核兵器開発に不可欠な三次元測定器などが、マレーシアを経由した核の闇市場を通じてリビアに流されていたことが、国際原子力機関(IAEA)の査察とマレーシア当局の調べで明らかになった。また08年6月には、カーン博士を中心とする「核の闇市場」の関係者からスイス当局が押収したコンピューターに、小型核兵器の設計図が入っていたことが明らかにされた。それらがイランや北朝鮮に流れたかどうかは不明である。08年12月には、カーン博士が1977年と84年に日本企業から核開発の関連部品や設備を調達したと証言した。アメリカのオバマ政権下では、核の闇市場を壊滅することが大きな政治課題となっている。