アメリカは、イランのミサイルの脅威に対応するためとして、2007年1月に、東欧のチェコに早期警戒レーダーを、ポーランドに10基の地上配備迎撃ミサイルを配備する計画を明らかにした。ロシアはこれに鋭く反発し、同年7月に欧州通常戦力条約(CFE条約)の履行の一時停止の意向を発表し、中距離核戦力条約(INF条約)からの脱退を示唆(しさ)した。11月にプーチン大統領(当時)がCFE条約停止法案に署名し、12月に一時停止された。しかし08年7月にはアメリカとチェコとの協定が、8月には同じくポーランドとの協定が署名された。それに対抗するため、11月にメドベージェフ大統領は、ポーランドと隣接する飛び地のカリーニングラードに新型ミサイルを配備する方針を表明した。アメリカのオバマ政権は、09年9月に現行計画を中止し、イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)計画を進めると発表した。この決定は、戦略兵器削減やイラン問題につき、米ロ関係の改善に有益であると考えられている。