北朝鮮は長距離弾道ミサイル「テポドン」の発射実験を1998年8月、2006年7月、09年4月に実施してきたが、12年には4月と12月に2回実施した。北朝鮮はこれらが弾道ミサイルではなく、人工衛星の打ち上げであり、すべての国に認められている平和利用であると主張している。国連安全保障理事会(安保理)は06年に弾道ミサイル計画の活動停止を求める決議を採択しており、09年には弾道ミサイル技術を使用した「いかなる発射」も実施しないよう求めているため、たとえ人工衛星であっても、国連安保理決議の違反となる。12年4月13日に発射されたミサイルは上空150キロまで飛んで爆発し、破片は韓国西方の黄海に落下し、北朝鮮も失敗を認めた。同年12月12日に発射されたミサイルは、沖縄上空を通過しフィリピン東方約300キロの太平洋に落下し、機体に配備された物体が人工衛星の軌道に乗ったことが確認された。このことは北朝鮮がアメリカ本土に到着可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM ; intercontinental ballistic missile)の開発で大きく前進したことを意味し、核兵器の開発が進んでいることもあり、国際社会への影響は多大である。安保理は13年1月22日に決議を採択、ミサイル発射を非難し、核兵器と核開発計画を完全かつ証明可能な方法で断念するよう要求し、以前からの制裁を若干強化した。しかし14年にも、3月に2回、6月、7月と計4回の発射が確認された。