イランでは2013年8月に新たな大統領としてロハニ師が就任し、同年9月の国連総会演説では欧米との関係改善を目指す姿勢を打ち出した。核問題に関しても、6カ国(アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツ)との外相会議を開催し、またオバマ大統領とも電話で首脳対話を行った。10月15、16日にはロハニ政権と6カ国が初めての核協議を行い、イラン側はウラン濃縮などで譲歩案を提示した。11月24日、イランと6カ国は核協議に関する外相会議で「第一段階の措置」に合意した。核兵器の開発につながるウラン濃縮活動などを制限し、国際監視体制を強化する見返りに対イラン制裁を一部緩和するというもので、具体的には、イラン側は、(1)5%を超える濃縮の停止、(2)保有する20%濃縮ウランの5%以下への転換、(3)遠心分離機の新規導入の中止、(4)国際原子力機関(IAEA)の査察強化の受け入れ、6カ国側は、(1)6カ月間新たな制裁を科さない、(2)原油輸出収入42億ドルの凍結解除、(3)貴金属、自動車、石油化学分野の輸出制限の一部緩和などに合意し、6カ月の第一段階の間に、イランと6カ国の包括的解決の輪郭を交渉することに合意が達成された。これは長年にわたるイラン問題全体およびここ数年のイラン核問題の解決に向けての大きな第一歩であり、第一段階合意は高く評価されるべきであるが、6カ月間における合意の誠実な履行と新たな包括的解決に向けた努力が必要とされている。