冷戦終結に伴い、対共産圏輸出統制委員会(COCOM)が1994年に解消したことを受けて、96年7月に発足した通常兵器などの輸出管理体制である。設立の協議が行われたオランダのワッセナー市にちなんでこう呼ばれる。正式名は「通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント(The Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies)」。その目的は、通常兵器および関連する軍事・民生両方に使用できる物品と技術の移転の透明性を増大し、より責任ある管理を実現することによって、国際社会の安全と安定に寄与することである。加えて、テロリスト・グループがそれらを取得することを防止することである。この体制は条約による法的拘束力があるものではなく、政治的な合意であり、参加41カ国(2015年2月現在)は合意されたリストの品目について、国内法令により輸出管理を実施している。さらに情報の交換が実施されており、通常兵器についてはその移転の通報を参加国間で行い、汎用品の取り扱いについても年2回の通報を行っている。