独立や分裂、合併など主権の変動により新たな国家が成立した際、既存の国家が国家としての一般的権利義務能力を認める一方的行為。宣言や通告により明示的に相手国に伝えられたり、外交関係の開設や二国間条約の締結によって、黙示的に実質上の国家間関係が開始されることもある。国家の要件としての領域・人民・独立の実効的政府が確定し、さらに国際法を守る意思と能力を認められた場合に国家承認の条件は満たされるが、それを欠く尚早の承認は国際違法行為と見なされる。承認行為には政治的裁量の余地が残されているため、20世紀後半の冷戦時代には分裂国家など未承認国が多く存在した。2006年に国民投票に基づき独立したモンテネグロは多くの国に承認されたが、08年初めのコソボの独立にはセルビア等が反対しているため、承認した国は国際社会の半分に満たない。また08年のグルジア紛争時に、中央政府の支配が及ばず事実上の独立状態にあった南オセチアとアブハジアを、ロシアが国家として承認したが、これに続いて承認する国は数カ国にとどまっている。最後に、日本はいまだ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を、国家として正式に承認していない。