国際違法行為を行った国家が、国際法上負う責任。国際連盟の時代には外国人の身体・財産に生じた損害への賠償に問題が集中していたが、国連国際法委員会は1960年代に包括的な検討に方針転換した。同委員会における40年近い作業を経て2001年に最終条文が完成したが、条約化されるのか総会宣言になるのか、その法的地位については未定である。国際義務違反の行為が国家に帰属する場合、国際違法行為が成立して、国家は国際的に責任を負わなければならない。私人の行為により生じた損害について国家責任は生じないが、「相当の注意」をもって外国人の権利侵害を防止する義務を国が怠った場合などは、同様に国家の責任が問われる。また学説上多くの議論を引き起こした国家の国際犯罪に関する条文は最終的に削除され、一般国際法の強行規範(合意により覆すことができないルール)の重大違反として条文化された。