外国人が国際法上必要な保護を与えられない場合、その本国が事態の改善や損害賠償などの救済を領域国に対して請求すること。広い意味では紛争や災害における自国民保護なども含まれるが、原則として個人の請求権が認められない国際法においては、外交交渉や国際裁判を通じて実現される国家の請求権として問題になる。被害者との間に真正な結合のある国籍が最終的解決まで保持されねばならない国籍継続の原則と、領域国の救済手段を尽くさなければならない国内的救済の原則が、外交的保護権行使の要件とされる。この権利はあくまでも国家の権利であり、被害者からの要請があっても本国が取り上げないことも、反対に被害者からの要請がなくても取り上げることも可能とされ、国家は請求の過程で方法の選択など行動の自由を有し、最終的に被害者の利益をはかる義務も負わない。