外国から訴追されている犯罪容疑者や有罪判決を受けた者を、請求に応じて自国内で身柄を拘束して当該国に引き渡すこと。近年外国への逃亡犯が増加したため、各国は国内法上逃亡犯罪人引渡し法を定めるとともに、司法共助の一環として行われている。引き渡すかどうかの判断は国家の裁量に任され、軽微な犯罪はもちろん、自国では犯罪でない行為について、あるいは自国民や政治犯罪人である場合は一般に引き渡されない。しかし二国間または多数国間の引渡し条約がある場合は、規定の範囲内で引渡し義務が生じる。日本は1886年にアメリカと条約を締結したのみであったが、1978年にアメリカと新条約を締結した後、2002年に韓国と条約を締結してすでに何件かで適用している。さらに03年には欧州評議会で成立した受刑者移送条約を批准し、現在中国との条約締結を検討中である。