鯨類の適当な保存と捕鯨産業の秩序ある発展を可能にすることを目的とした条約。1946年12月に署名され、48年11月に発効した。日本は51年4月に加入。2015年3月現在、締約国は88カ国。条約の付表では、シロナガスクジラやミンククジラなど13種の大型鯨類の捕獲に関する具体的な規制措置が定められている。しかし、第8条では、付表の規制を受けることなく、締約国に科学的研究のための調査捕鯨(鯨類捕獲調査)を行うことを許可している。この条約によって設置された国際捕鯨委員会(IWC)は、1982年に商業捕鯨のモラトリアム(一時禁止)を採択したが、捕鯨国であるノルウェーとアイスランドはこれに異議を申し立て、93年、2006年にそれぞれ商業捕鯨を再開した。日本は商業捕鯨から調査捕鯨に切り替えて、1987年から南極海で、94年から三陸沖などを含む北西太平洋で毎年調査捕鯨を実施してきた。これに対し捕鯨反対の世論が強いオーストラリアでは、政府が2010年5月、南極海における日本の調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反しているとして、国際司法裁判所(ICJ)に提訴した。