食用や飼料用の作物などの種子や苗木といった植物遺伝資源の中でも、食糧安全保障上特に重要なものの情報などを国際的に共有し、その利用と保全を促進し、利用から生じた利益を公正かつ法的に釣り合いのとれた配分をすることを目的とした条約。正式名称は「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約」。すべての遺伝資源の保全・利用を対象とした「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)」と「名古屋議定書」の特別法と位置づけされている。2001年11月、国連食糧農業機関(FAO)総会で採択され、04年6月に発効。日本は13年7月に加入。締約国には、植物遺伝資源の調査および目録の作成、多様な農法の開発や育種の促進と、事務局への情報提供を義務づけている。事務局がこれを管理・公表することで、情報取得の際の労力や時間が大幅に削減された。さらに利益の一部は、開発途上国の農業者などにも配分される。15年3月現在、締約国は欧州連合(EU)を含む135カ国・地域。