国際結婚の破綻後、一方の親が16歳未満の子どもを無断で国外に連れ去った場合に、もう一方の親の求めに応じて、原則として、元の居住国(常居所地国)に迅速に返還するための条約。正式名称は、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約(Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction)」。連れ去りから1年以上が経過し子どもが新たな環境に適応している場合や、返還によって虐待や暴力を受けるなど著しく危険な状況になりかねない場合には、返還を拒否できる。また、親子の面会交流の機会を確保するための締約国の支援なども定めている。子どもの返還後の親権についての審議は、常居所地国の裁判所で行う。1980年10月にオランダで開催されたハーグ国際私法会議で採択され、83年12月に発効。締約国は、2014年4月現在、93カ国・地域。日本は、主要8カ国で唯一未加盟だったが、日本人の国際結婚とその破綻が増える中、欧米諸国からの強い要請を受け、13年5月、国会で条約加盟を承認した。日本は、同年6月には国内法を整備し、14年4月に条約を発効した。