輸出国と輸入国が協力して、絶滅に瀕した野生動植物の国際的な取引を規制し、これらの動植物の保護をはかることを目的とした条約。1973年3月にワシントンで採択されたことからこう呼ばれる。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES ; Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」。75年7月に発効。日本は80年8月に批准。条約の規制対象となる動植物は、(1)絶滅のおそれのある種(付属書I)、(2)将来絶滅のおそれのある種(付属書II)、(3)締約国が自国で規制するため、他の国や地域の協力が必要である種(付属書III)、に分類されている。これらの種の標本を輸出する際は、原則として、輸出国の事前許可書を必要とし、Iについては、輸入国の事前許可書の提出も必要であり、商業目的の取引を禁止している。ただし、条約の批准前に取得されたもの、個人的利用、学術的目的、教育・研修、飼育繁殖事業を目的とする場合は、一定の条件下で免除される。締約国は、条約の実施および違反取引を防止するため、輸出入の規制や違反者の処罰、標本の没収など適当な措置をとる義務を負う。また、事務局が設置されており、行われた取引および条約の実施措置を定期的に事務局に報告する義務も負う。事務局によって問題点を指摘された締約国は、速やかに関連する事実を提出し、定期的に開催される締約国会議の検討に付される。2015年3月現在、締約国は180カ国・地域。