すべての障害者の人権や基本的自由の完全かつ平等な享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とした条約。正式名称は「障害者の権利に関する条約」。2006年12月に国連総会で採択され、08年5月に発効。日本は国内法の整備に時間を要したため、14年1月、140番目の批准国となった。一般原則として、障害者の尊厳、自律および自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加および包容などが掲げられている。締約国は、これらの目的達成に必要な合理的配慮が提供されることを確保するための適当な措置をとる義務を負う。合理的配慮とは、障害者が障害のない人と同じように権利や自由を享有し行使するときに必要とされる適切な変更および調整であって、かつ、相手側に過度に負担を課さない配慮をいう。具体的には、身体の自由、拷問の禁止、表現の自由などの自由権的権利や、教育、労働などの社会権的権利などをさす。条約の実施のため18人の委員で構成される障害者権利委員会が設置されており、委員会が締約国によって提出された報告を検討し、勧告を行う。15年3月現在、締約国は欧州連合(EU)を含む151カ国・地域。