国連海洋法条約の発効(1994年)と同時に発足した国際機構で、深海底資源を「人類共同の遺産」として、人類全体の利益のために開発・利用することを目的とする。構成国は、国連海洋法条約の締約国で、本部はジャマイカのキングストン。深海底資源の先進工業国による独占を防ぎ、国際的管理制度の確立を目指す。長期的展望に立って、深海底資源の合理的な開発、収益の公平な配分、開発技術の移転などを目的としており、資源開発活動は、ISAの許可の下に、ISAの一機関であるエンタープライズ(事業体)と国家やその他の企業体とによって並行して行われる(パラレル方式)。すぐれた技術力をもつ先進国、とくにアメリカは、この開発方式に不満で条約の採択に反対したが、94年の、深海底開発制度における先進国の負担を軽減する内容の「国連海洋法条約第2部の実施に関する協定」(96年発効)によってパラレル方式は確定した。この方式を支えるため、開発契約締結の際、契約申請者は同等の商業的価値を有する二つの鉱区を提示し、ISAは一方をエンタープライズまたは途上国のために留保し、他方を申請者の開発のための契約区域とするバンキング方式が採用された。これまでのところ深海底資源の探査は行われてきたが、実際の商業開発にまでは至っていない。