1999年には1バレル10ドル近くにまで下落した原油価格はその後急騰し、2006年7月にはWTI先物価格が1バレル78ドルを超える史上最高水準にまで上昇、その後いったん下落したが、07年9月、再上昇して80ドルを超える展開となった。背景には中国・インドを始めとする途上国の経済発展に伴うエネルギー需要の拡大、産油国情勢の不安定(地政学的リスク)や、投機的資金の石油市場への流入などが複合的に作用していると考えられる。このような石油価格の上昇を受けて、中東、中央アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどを舞台に石油消費国の資源獲得競争が激化している。また、石油価格の高騰は脱原発の流れに歯止めをかけ、アメリカなどで原発見直し論が強まりつつある。二酸化炭素を排出しない原発には地球的環境問題への配慮という観点からも期待が寄せられているが、その利用の拡大は廃棄物の処理や核拡散の危険性といった問題も抱えている。