リアリズムでは、近代ヨーロッパのようにほぼ均等な三つ以上の大国からなる多極的システム(multipolar system)と、冷戦期のように二つの他を圧する大国が対峙する二極的システム(bipolar system)を対比して捉えてきたが、冷戦終結後はアメリカが唯一の超大国(フランスの元外相ベドリーヌの言葉では「ハイパーパワー」)になったという認識から、現代の国際システムを単極構造として捉える議論が提起された。超大国に対してはやがて対抗する国家(たとえば中国)や同盟・多国間枠組みが力をもって単極構造は失われるという議論や、逆に単極構造が維持されるとした場合、超大国の単独行動主義(unilateralism)は自然な姿なのか、それとも超大国が長期的な視点から制度形成費用を負担して国際協調枠組みを形成する覇権的安定(hegemonic stability)に基づく秩序が目指されるべきなのか、などの議論がある。