世界を一つの社会システムとして捉え、その構造や変化を捉えようとするマクロ理論の系譜を指す。ここでの「世界」とは、意識された人間社会の広がり全体を指し、古代ローマや古代中国は、それ自身が世界であった。1970年代から様々な角度で世界システム論が論じられるようになったが、中でもマルクス主義を拡張し、地球全体を資本主義が覆ったことを近代の特徴と見なすウォーラーステインや、近代国家体系の変容を覇権(はけん)の周流から特徴付けるモデルスキーなどの長期的世界システム論、さらに帝国や中世といった前近代的社会との比較を行う社会システム論としての世界システム論といった系譜が挙げられる。近年では冷戦終結後の世界を理解する上で、近代国家原理の衰退と伝統的な帝国的統治体制との相似を強調する帝国論(empire thesis)や、世界の理念的統一と多様なアクターの複雑な諸関係に中世との類似を見いだす新中世論(neo-medievalism)などに注目が集まっている。