1994年1月のクリントン元米大統領の演説において初めて使われた用語であり、国内で人権を抑圧し、テロリストを支援したり大量破壊兵器を保有しようとしたりする国家を指す。クリントン政権下ではイラク、イラン、北朝鮮、リビア、シリア、スーダン、キューバの7カ国が指定された。その後こうした呼称はしばらく控えられたが、ジョージ・W.ブッシュ政権発足後、再び公式に使われるようになり、2002年年頭教書演説では特にイラク、イラン、北朝鮮を名指しして「悪の枢軸(axis of evil)」と呼んだ。さらにブッシュ政権(当時)は、ならず者国家やテロリストによる攻撃は抑止不能であり、予防的にその脅威を除去するしかないという見解を表明し始めた。国際法上、攻撃を受ける危険が急迫している時に先に攻撃し、自らを防衛する行為としての先制攻撃(preemptive attack)は自衛の範囲で容認されているが、ブッシュ政権の立場は差し迫った脅威のない段階で攻撃を行う予防戦争(preventive war)までも含みうると指摘された。