テロリズムの定義に決定版は存在しないが、「暴力的手段によって社会に恐怖を与えることで何らかの目的を果たそうとする行為」とおおむね定義される。暗殺といった暴力行使は古来より存在するが、暴力によって社会に恐怖を与えるという視点が登場したのは近代市民社会の成立後であり、フランス革命期の恐怖政治がその端緒といわれる。その後テロリズムは、19世紀末から20世紀初頭にかけての無政府主義(アナキズム)や20世紀の中期の民族解放闘争におけるテロリズムなど、様々な形で行われてきた。特に2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロ以降、テロリズムが国際的に活動し、大規模な破壊をもたらす新しい脅威として認識されるに至った。その先駆としては1960年代後半からの左翼テロ活動の国際化、大規模化の傾向が見られたが、冷戦の終焉(しゅうえん)とグローバル化により左翼過激派活動は衰退した。代わってカルト主義や宗教的極端主義に基づくテロリズムが登場し、90年代のオウム真理教による毒ガステロや、2001年の9.11テロ、05年のロンドン同時爆破テロなど、先進社会にとってテロは最大の脅威になりつつある。