アメリカ国防総省が2006年2月に公表した「4年ごとの国防計画の見直し」(QDR)06年版において用いられた言葉。アメリカと同盟友好関係にない大国や新興国に対して、協力を促すと同時に敵対的存在になる危険への注意を払う意図を込めている。特に中国、ロシア、インドの名を挙げている。中国については将来、アメリカに対抗する軍事力をもつ可能性が最も高い国とし、その軍事力増強傾向と不透明性への警戒を強めている。ロシアについてはプーチン体制がメディア規制や、ウクライナの反ロ的政策に対して天然ガス供給停止などで圧力をかけるなど強権的な傾向を強めていることを指摘した。対してインドについては接近傾向を示し、06年3月のブッシュ訪印の際には同国の核保有を事実上容認する原子力協定を締結し、積極的に協力を拡大する姿勢を示しているが、協定には国内の反対もある。他方で、中ロと中央アジア諸国が組織する上海協力機構はインド、パキスタン、イラン、モンゴルをオブザーバーとして受け入れており、米欧日対中ロという大国間関係の図式が徐々にできつつあるという見方もある。