人間の諸活動が領域的、時間的制約を逃れて地球規模のものになりつつあるという現象ないし感覚を指す言葉。地球(globe)から作られた造語で、1980年代から用いられるようになった。距離の遠近にかかわりなくカネや情報が流通し、地球全体が同時性を感じる状況は60年代ころから顕著になりはじめたが、ベルリンの壁の崩壊に代表される冷戦の終焉(しゅうえん)、インターネットなど新しいメディアの社会への普及によって、90年代にはグローバリゼーションが鍵概念の一つとなった。しかしグローバリゼーションが、人類の統一というコスモポリタニズム(世界市民主義)の夢を実現するという期待は裏切られることになった。大量のヒト、モノ、カネ、情報の流通は新たな摩擦や緊張を引き起こし、97年に表面化したアジア通貨金融危機や、2001年9月11日の同時多発テロは、グローバリゼーションがもたらす負の側面を明らかにした。また、グローバリゼーションが環境を破壊し、貧富の差を拡大していると考える反グローバリズムの活動も広まった。しかし科学技術の発展に伴うグローバリゼーションそのものを拒否することは困難であり、むしろ現在はグローバリゼーションを前提とした地域主義、二国間主義、地方分権などの秩序の多層化の傾向が見られる。