人類すべてを統治する単一の世界政府は存在しないが、地球環境問題に見られるように人類共通の課題は存在するので、主権国家だけでなく、国際機構、NGO(非政府組織)などの非国家的主体を含めた諸主体の協力によって地球規模の問題解決を図ろうとする考え方を指す。1992年にヨーロッパを中心に発足したグローバル・ガバナンス委員会によってこの言葉は普及した。また、90年代には毎年のように開催されるようになった国連特別総会でも、人口、開発、環境、エイズ、女性といった地球規模の社会経済問題について討議され、各国代表だけでなく様々な関心層が関与し、条約の採択に至ることもあった。こうしたアプローチは国家エゴに対して圧力をかけ、行動規範の形成に力を貸す助けとなるが、地球温暖化に関する京都議定書の発効に至る困難が示すように、主権国家に代わってこうした目標を実現できるわけではない。