2008年7月7日から9日まで、北海道洞爺湖(とうやこ)で第34回G8首脳会合(サミット)が開催された。日本で開催される5度目のサミットである。洞爺湖が開催地となったのは安全のために都会を避ける近年のサミットの慣例にならった安倍晋三首相(当時)の判断だったが、安倍首相の辞任に伴い、福田康夫首相(当時)がホストとなった。サミットの主要議題は世界経済、環境・気候変動、開発・アフリカ、政治問題とされ、また、アウトリーチ5とも呼ばれるようになった中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ5カ国の首脳の他に、アフリカ、アジアからの首脳も呼ばれ、拡大会合や気候変動に関して開始された主要経済国会合(MEM major ecnomies meeting)が同時に開催されたのが特徴となった。G8会合は4つの声明と議長総括を公表し、拡大会合、MEMでも明確な対立は回避されたものの、主要問題に関する各国の立場の開きは大きく、顕著な成果も見られなかった。とりわけ気候変動に関してはポスト京都議定書に向けた進展が期待されたが、G8会合で、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量の「少なくとも50%削減を達成」という数値に言及されたものの、明確な目標とは位置づけられなかった。さらにMEMでは「排出量削減の世界全体の長期目標を含む、長期的な協力行動のためのビジョンの共有」という一般的表現となった。こうした結果は、ブッシュ政権(当時)が政権末期であったことに加え、他の首脳も総論としては国際協調の必要性を認識しつつも、おしなべて国内政治圧力にさらされて大胆な提案や妥協を提示できない状況に追い込まれていたことに根本的理由があったといえよう。