1980年代、気象学者を中心に、産業活動に伴う人為的な温室効果ガスの排出によって地球の気温が上昇しつつあるという説が強まってきた。92年には国連環境開発会議(地球サミット)が開催され、多数の政府首脳が参加して気候変動枠組み条約が採択され、温室効果ガスの安定による気候変動問題への対処が国際的に合意された。97年には先進国の温室効果ガスの排出削減目標を盛り込んだ京都議定書が合意された。京都議定書はアメリカとオーストラリアが離脱したものの2005年に発効、08年に約束期間が開始した。すでに国際政治では、京都議定書の約束期間後の13年以降の国際合意を目指す動きが活発化している。しかし当初、新たな議定書の草案作成を期待された09年12月のコペンハーゲン会合では基本方針のみの合意にとどまり、交渉は先送りされた。アメリカのオバマ政権が環境政策重視を掲げるなど国際的取り組みの機運は強まっているが、先進国と途上国の相違も大きく、合意が実現するか不透明である。また、07年公表の国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第4次報告では、地球の温暖化は間違いなく、またその原因として人為的活動による可能性が高いとしており、世界の気象学者の多くはこの説を支持しているが、温暖化の傾向はともかく、その原因、予測、人類や地球への影響については懐疑説も存在する。