2010年11月23日、北朝鮮人民軍は韓国が定めた北方限界線(NLL)の南にある延坪島(ヨンピョンド)に砲撃を加え、韓国軍兵士2人、民間人2人の死者を出した。北朝鮮は北方限界線を認めておらず、この海域での韓国軍の軍事演習に警告を発していたが、今回の砲撃は朝鮮戦争休戦以降初めての陸上攻撃であり、韓国および国際社会に強い衝撃を与えた。この攻撃は挑発によって国際社会、特にアメリカを対話に呼び込もうという北朝鮮の瀬戸際外交の一環とも見うるが、同年3月の韓国哨戒艦「天安」沈没が北朝鮮の攻撃によるものと認定され(北朝鮮は否定)、9月には金正日の三男、金正恩(キム・ジョンウン)が事実上の後継者として登場するなど変化の兆候もあり、その背景および意図は論議を呼んだ。また、金正日は10年に2度訪中して中国要人と会い、中国は「天安」沈没に際しても北朝鮮非難に加わらないなど中朝関係にも接近傾向が見える一方で、日米韓三国は北朝鮮に対する結束を強め、延坪島砲撃後には、大規模な米韓、日米軍事演習が行われ、日韓の自衛官、軍人が相互視察するなど、北東アジアの国際関係にも変化が生じつつある。