2011年12月19日正午、北朝鮮の主要メディアは特別放送として金正日(キム・ジョンイル)総書記が17日早朝、地方に向かう列車内で心筋梗塞で死亡したと発表した。金正日は08年夏にかなり重篤な脳梗塞で倒れたと見られており、健康状態の不安が伝えられてきたが、このタイミングでの死去は予想されておらず、韓国や日本では政府の情報収集能力に疑問が呈される結果となった。10年9月には三男の金正恩(キム・ジョンウン)が後継者となることが明らかとなっており、後継の準備は進んでいたが、突然の金正日死去によって後継が順調に進むかが注目された。しかし北朝鮮に目立った動揺は見られず、金正恩が最高指導者として扱われ、金正日の遺訓を守り、先軍政治を継承していく方針が報じられた。日本、アメリカ、韓国の各国が弔意の表明を抑え、核計画の放棄等の懸案の解決を求めていく方針を示した一方で、中国は金正恩体制を強く支持していく方針を明らかにした。新体制は弔意を示さなかった韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権を非難し、アメリカに食糧支援で要求を出すなど強硬化する兆しも見える。国内では金日成(キム・イルソン)の死去時に比べて民衆は冷淡だとも伝えられ、年若い金正恩を支える体制の長期的な安定性には疑問もある。