2012年11月に開催された中国共産党第18回全国代表大会を経て、10年ぶりに中国の指導者が胡錦濤から習近平に交代し、最高首脳である政治局常務委員7人も決定した。しかしこの決定までには激しい権力闘争があったと推測されている。前任の江沢民、胡錦濤と異なり、トウ小平から指名を受けたわけではない習近平の権力基盤には限界があり、習近平ら政治家子弟(太子党)と、胡錦濤やその腹心でナンバー2となった李克強ら共青団グループの間での綱引きなど、党内の権力闘争を抑える力は不足している。胡錦濤は党軍事委員会主席も含めて完全引退を表明し、李克強を除き常務委員は江沢民寄りと見られているが、7人中5人は5年後には定年を迎え、今後も権力闘争は続くであろう。新体制の政策はまだ明確でないが、習近平は「中華民族の偉大な復興」を強調し、党腐敗の根絶を強調するなど道徳性を重視する姿勢を示している。これはナショナリズムを強く反映した対外政策につながる可能性があり、日本を含めた周辺国やアメリカに対して強硬な姿勢を示す可能性もある。