エネルギーをめぐる国際情勢が大きく変化しつつある。第1に、中国、インド、中東地域などでのエネルギー需要は今後も伸び続けることが予想される。第2に、東京電力福島第一原発事故の影響で、一部の国に原発縮小の傾向が見られる。第3に、アメリカを中心とする非在来型ガス開発技術の発展によってシェールガスの利用可能性が高まっており、この動きは中国などにも広がるかもしれない。ただし環境への影響は未知数である。第4に、温暖化対策のための化石燃料消費抑制の必要性は依然として認識されているが、2012年のドーハでの気候変動枠組み条約締約国会合(COP18)では、京都議定書の枠組みが20年まで延長されることが決まったものの、日本やロシアは離脱し、国際協調は後退している。こうした諸状況はエネルギーの対外依存度の高い日本のエネルギー戦略の決定を困難にしている。