2008年のリーマン・ショック後、世界経済の成長をけん引したのは中国、インド、ブラジルなどの新興国であった。しかし最近では日米欧先進国経済に次第に回復傾向が見え始めたのと対照的に、新興国の経済成長に停滞感が強まっている。中国は13年の政府目標の7.5%成長は達成したものの、シャドーバンキングや地方政府債務の問題や国有企業改革、高齢化などの問題が意識され始めている。インドやブラジルの成長率も低下し、政権への不満が高まっている。トルコやタイ、韓国などでも政府批判や経済減速傾向が強まっている。その原因は多様だが、中進国の罠と呼ばれる経済成長要因の量から質への転換の必要や、中産階級の成長に伴う政治的、社会的価値観の変化などが組み合わさって生じていると考えられ、新興国が持続的成長に向けて挑戦を受ける段階となったと言えよう。