戦力投射能力ともいう。自国領土以外の地域における安定を促し、危機に対応し、戦争を抑止または遂行するために、軍隊を迅速かつ効果的に動員・展開・運用する国家の軍事的・経済的・外交的能力。パワー・プロジェクションは、通常、投入部隊の動員から始まり、部隊の展開準備、展開、進駐、軍事行動と続く。特に、展開と軍事行動の段階が重要である。展開は、兵員や装備品を海上・航空輸送したり、装備品を事前集積艦・集積基地に集積しておき、兵員と合体して進駐させたりすること。この際、海外基地(前方展開基地という)や友邦国の港湾・飛行場施設の利用体制(ホスト・ネーション・サポートという)の存在、民間の船舶や航空機の借り上げ等がプロジェクション能力の増大に大きく寄与する。具体的には、地上部隊、特殊行動部隊、空挺・ヘリ部隊による進攻や安定化行動、海兵隊の着上陸行動、空母等からの爆撃、艦艇からの長距離ミサイル攻撃、空軍の長距離爆撃等がある。このうち、海兵隊の着上陸行動、空母からの爆撃、艦艇からの長距離ミサイル攻撃を海洋パワー・プロジェクションという。