2004年12月、韓国で、植民地統治期に対日協力に従事した親日派による反民族行為を究明することを定めた反民族行為真相究明法が成立した。盧武鉉政権(当時)は国家保安法廃止案などとともにこれを「四大改革法案」の一つと掲げ、「過去の清算」を重要課題に位置づけていた。これに基づいて大統領直属の親日反民族行為真相糾明委員会が05年6月に発足した。親日派としては、独立運動家とその家族を殺傷、処刑したり、それにかかわる行為を行ったりした者、日韓保護条約・日韓併合条約に関する功労で地位を与えられた者、旧日本軍人として「侵略戦争」に協力した者も挙げられていた。同法は国会通過に際して修正され、名前から「親日」が削除されたが、旧日本軍人について修正前は中佐以上であったのが、修正後は少尉以上に拡大した。故朴正煕元大統領が旧日本軍少尉であり、その長女朴槿恵が当時、野党ハンナラ党代表であったことを考えると、そこには内政的な配慮が否定できない。さらに05年5月には真実和解のための過去史整理基本法(「過去史法」)が通過し、国家情報院の過去史真相究明委員会は同年末、人民革命党事件(1964年)、民青学連事件(74年)につき、「権力者の恣意的な要求に従い捜査の方向性が事前に決まった」と総括した。国防部の過去史究明委員会もまた、映画「シルミド」の題材になった実尾島部隊が、金日成暗殺を目的として韓国中央情報部(KCIA)の指示により創設され、空軍が管理していたことを明らかにした。