胡温体制成立以来、「親民政策」を掲げ、社会的不公平、不平等の是正に力を入れてきた。それらをより体系化したものとして2004年9月の共産党16期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で「社会主義和諧社会の構築」が新スローガンとして打ち出された。その後05年3月の第10期全人代第3回会議で温首相は「公平と正義、安定した秩序、人と自然の和睦などに力を入れた和諧社会の構築」に努力するとした。「和諧」(調和があること)は、とりわけ都市と農村の発展、地域の発展、経済と社会の発展、人と自然の関係、国内発展と対外開放などでの調和を重視している。それは高度成長が生み出した貧富の拡大や腐敗、環境問題などの諸矛盾の解決を図ろうとするもので、従来の経済発展至上主義からの転換を意味する。全面的「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)建設の重大な任務でもあり、「執政能力」「科学的発展観」「親民政治」などと並んで胡温体制の思想・政策キーワードである。また05年10月の国連総会に出席した胡錦濤は、国際社会の望ましい姿として、不均衡で多様な世界の調和を第一に重視する「和諧世界」の建設を提示した。