近年、農村の自治組織である村民委員会委員(村長・助役・会計主任などに相当)の直接選挙が広く実施され、また都市における居民委員会、社区委員会での選挙も試みられ、これら基層における直接選挙の充実という意味で注目されてきた。西側ではこれを民主化促進と評価する人もいたが、党の指導は堅持され、むしろ基層で崩れた党組織の再編・強化という意味合いもある。選挙は、(1)全国から区・郷に至る人民代表大会の人民代表の選出(一級下の代表が上の代表を選ぶ間接選挙)と、(2)基層自治組織の行政的幹部選出の二つのタイプがある。前者は1953、79、82、95年などの選挙法の下で実施されている。都市と農村の代表者数格差は中央レベル8対1、一級行政区5対1。候補者は共産党、人民団体、選挙民連名などの推せんによって立候補するが、投票前の段階で淘汰される。この過程でイニシアチブを握るのが選挙委員会で、ここでも共産党は実質的に選挙をコントロールしている。最終的な候補者決定後に本選挙が実施されるが、最終候補者決定時点でほぼ共産党の意向が反映されており、西側の選挙とは重大な相違があるが、選挙委員会が公開され、ルール化され、中立的に機能するだけでもかなり民意を反映した選挙になる可能性はある。