人民解放軍は、1927年の共産勢力の武装蜂起を契機に紅軍として建設され、その後抗日戦争、国共内戦を戦う中で主力軍として勢力を拡大し、49年以降国家を支える武装力となった。党の軍隊として生まれ、いまなお「党の指導を受ける」ことが国防法に明記されている点に特徴がある。元来ゲリラ戦を主としており建国時には第1、2、3、4野戦軍に編成され、各政治委員・司令官との人的な結びつきが強かった。改革開放期に入り、人員の大幅な削減、軍の近代化が積極的に取り組まれたが、それでも正規兵は200万人を超え世界最大である。指導系統としては党中央軍事委員会/国家中央軍事委員会(人員的には重複)の権限が強化され、地方軍区の自主性が軽減された。中央軍事委員会主席はトウ小平就任以来最高実力者のポストとも言われ、2002年に総書記、03年に国家主席を退いた江沢民がなおこのポストに留任していたが、04年9月に辞任し、胡錦濤が就任した。この他に人民武装警察があり、名目的には公安部(警察担当省庁)に所属し、デモの鎮圧、重要施設の警備や辺境警備に従事するが、戦時には人民解放軍の指揮下に入る。人民解放軍の近代化にともない兵力数の削減が進んでいる。現在の兵力総数は約228万5000人(陸軍約160万人、海軍約25万5000人、空軍約30万~33万人など。「ミリタリーバランス2011」による)。