2003年、温家宝首相が東北地域の旧工業基地を振興することの意義を提起し、その後中央政府として東北三省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)の優れた工業基礎と人的資本を生かし、大胆な発想により新型産業基地建設を目指した重要戦略。特にその意義として4点があげられる。(1)今日、地域格差の縮小が必要になり、「西部大開発」に続き東北地域が着目されるようになった。(2)GDPで全国の11.3%を占め、中国の重工業、自動車、石油、木材と食糧生産の基地であり、日本、韓国、ロシアとの貿易の潜在力が大きい当地域を、長江デルタ、珠江デルタ、環渤海経済圏に続く第四の成長地域とする。(3)東北地域は国有経済の割合が際立って高く、古い工業・企業体制を改革しなければ市場競争に淘汰される。国有経済の調整、競争力向上は必至である。(4)当地は建国以来最も深刻な構造調整期に直面しており、リストラされた労働者数は全国で最大規模である。現状のままでは社会不安の増大は不可避で、東北振興による経済の活性化が待たれる。