中国は依然として発展途上国でありながら、2010年にはエネルギー消費量はアメリカを抜いて世界第1位となった。構造上の問題としては、(1)エネルギーの生産量、消費量とも極端な石炭依存(全体のほぼ70%前後)。(2)1993年以降、石油輸入国となり輸入依存がますます大きくなっている。石油確保では中東依存の増大は不可避であり、またシベリア開発と海底資源開発などで国際競争・対立の火種にもなりうる。天然ガスの積極的な開発とパイプラインの建設なども重点的に進めていること。(3)原子力エネルギーの開発は遅々として進まず現在でも全体の1%前後にとどまっていること。(4)消費効率が悪く省エネルギー対策が不十分であること、などである。中国のエネルギー利用効率をGDP原単位や物量ベースで見てみると、先進国の6~8割程度と非常に非効率である。先進国並みになれば、2~4割の省エネルギーが可能である。石油を中心とするエネルギー安全保障問題は、これからの中国の最重要課題となった。しかし過去に経験がない上に、石油輸入量の拡大があまりにも急激で、エネルギー安全保障の総合対策の体制が依然不十分である。