中国のインターネットユーザーは2012年末で5億6400万人(世界のインターネットユーザーの4人に1人を占める)までに増大。その中で中国版のツイッターといわれる「Weibo(微博)」の利用者は10年11月には5000万人であったがわずか半年足らずで1億4000万人、毎日の投稿数が5000万件以上へと驚異的なスピードで増加し、以後も急増傾向にある。それはいまや、既存のメディアに代わりうる、あるいは重要な補完性を持つソーシャルメディアになりつつある。ネット上では微博などにより党幹部の汚職や腐敗、環境汚染、社会的事件などを内部告発する事例が増加。これに対して、中国当局は市民の間での「自由な言論空間」の形成を警戒し、強力な規制に乗り出している。1つは、インターネット上の個人情報管理の徹底化で、すでに全国人民代表大会(全人代)常務委員会は12年末、「ネット情報保護強化に関する決定」を審議し、賛成多数で可決した。13年3月の全人代で正式決定。ウェブサイト運営者に捜査協力を義務付けたほか、広告や嫌がらせなどの迷惑な電子メールの一方的な送信に罰則を新設。主要な狙いは関係部門にネットを監視する権利を与え、サイトの運営者などにも当局の調査に協力する義務を課し、ネット運営上当局の関与を強めることにあると言える。2つには、インターネットの内容そのものの検閲強化である。すでに中国政府によって60以上の関連条例が作られ、3万人以上とも言われるインターネットポリスによって、インターネット・サービスプロバイダーで検閲制度が実施されている。インターネットフォーラムやブログ、Sohu(捜狐)やSina.com(新浪)といったポータルサイトでは、党や政府に批判的な発言、高級幹部の実名批判などが現れると、通常は数分で消されるほどに徹底している。それでもネット上では隠語を使った党や指導者への批判が相次いでおり、当局と市民・民衆とのイタチごっこ的なせめぎ合いは今後も一層激しくなっていくとみられる。