中国共産党にとって絶対に譲歩できない利益。2010年12月に外交統括者である戴秉国は、これを(1)中国の国体、政治体制、政治の安定、すなわち共産党の指導、社会主義制度、中国の特色ある社会主義、(2)中国の主権の安全、領土保全、国家統一、(3)中国の経済社会の持続可能な発展という基本的保障と説明した。特に(2)に関しては、チベット、新疆ウイグル、台湾問題などを含む。10年3月に中国政府は、北東アジアとインド洋を結ぶ軍事・通商上の要衝で係争地域を抱える南シナ海を「核心的利益」に位置づけたといわれたが、戴秉国の報告では、東シナ海を含め核心的利益からは除かれていた。ただし、核心的利益は領土、領海、海洋権益などをめぐって微妙に中身を変化させており、依然として周辺諸国などとの対決も辞さない強硬な外交を示す象徴的キーワードである。