経済優先の開発が進む中国で、企業や政府幹部によって引き起こされた違法あるいは不当な土地の収奪、大気・水・土壌などの深刻な汚染、目に余る腐敗などが目立ち、これに対して特に2000年代初頭あたりから、住民たちが自らの権利や利益を守り、擁護するために起こした異議申し立て運動のこと。権力が過度に集中した地方の政治構造や、経済社会的な変化に対応できていない社会システムの不備などが問題の根底にある。維権運動は結果的にはこうした政治構造や社会システムの変更を求め、多様な利益を政策決定過程に反映させ、不当な権力の介入を抑制し、公正なルールに基づいて利益配分、問題処理を行えるような法治に基づいた地方自治を求めていく運動の可能性をもっている。維権運動には現在、労働者、農民、農民工、学生、民弁教師(郷鎮村で雇用される教師)、不動産所有者、タクシードライバー、ネットユーザー、知識人など問題を抱える様々な人々と、それを支援する人々が参加している。問題解決の方法としては、抗議文、デモ、座り込み、ストライキ、時に暴力に訴えることもある。最近ではインターネットの活用により、短時間で広範な人々にアピールでき、内外のメディアなどがこれに呼応して効果を上げるケースも目立ってきている。