2011年3月5日、全国人民代表大会は「第12期5カ年計画」(11~15年)を採択し、その内容を公表した。その中で新たな章として「海洋経済の発展推進」の項目を加え、特に「海洋発展戦略」を制定したことが注目されている。この項目は、軍、国土資源省、国家海洋局、農業省漁政局など複数の関係部門による共同作業によるものとみられ、「海洋開発と総合管理能力を高める」ことが明示された。内容的には「海洋産業構成の改善」と「海洋総合管理の強化」の2部分で構成されている。天然ガス、石油を含めた資源開発や漁業、観光業を発展させるとともに、自然保護や離島の管理強化などが盛り込まれた。このような内容を積極的に推進することは、沖縄・尖閣諸島周辺や、東南アジア諸国と領有権紛争を抱える南シナ海において、中国船舶と当該関連諸国船舶との緊張が高まることが予想され、周辺諸国は懸念と不安を持って中国の動向を注視している。12年11月の中国共産党第18回全国代表大会における「政治報告」では、「海洋資源の開発能力を高め、海洋経済を発展させて、海洋の生態系環境を保護することと同時に、国の海洋権益を断固として守り、海洋強国を建設する」といった内容が盛り込まれ、海洋発展戦略の大枠を明確化した。