1996年から信訪条例として施行された中国の陳情制度。「信」とはもともと書簡を意味し、今日では電子メール、電話等を含む。「訪」とは文字通り訪問で、大衆が直接関係機関に出向くことである。「信」と「訪」によって党関係部局や行政当局に問題の実情を訴え苦情の申し立てを行い、あるいは提案・意見具申などをすることで大衆の利益、権利を擁護する制度とされていた。しかし行政機関相互の責任転嫁、たらい回しなど非効率な事態となり、2005年に新信訪制度が施行されるようになった。これによると県級以上の政府が信訪業務を統括することで秩序を維持しつつ効率を上げることが目指されている。信訪で訴えられる問題としては居住地・耕作地などの立ち退き・土地収用問題、幹部の不正、環境問題等が多い。信訪はもともと人治的な色彩が強いため、法治国家を目指す中で今後どのように扱われていくのか注目される点でもある。