2014年10月の中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議(18期4中全会)で「依法治国(いほうちこく)に関する重大決定」が採択された。核心的な考えは「依法治国」(法に依って国を治めること)である。ある専門家は英語の「the rule of law」に類似した法治主義と解釈しているが、むしろ共産党の指導を大前提とした「法による物事の処理」という意味合いが強く、「the rule by law」に近いというべきであろう。とくに市場経済におけるメカニズムとして法による処理が求められる。市場経済においては、国と政府が個人、組織と対等の関係に立つことになるので、司法における和諧社会の実現、つまり法に基づき私権すなわち市民の民事権利を保障しようとする社会の実現であり、従来の関係(コネ)による物事の処理に比べてはるかに公平性が高まると期待される。しかし現実には、西側諸国で用いられる「人民が法により国家権力を治める」という法治主義の概念、つまり「法の支配」とはイコールではない。「依法治国」は、中国共産党が法により中国全土を治めることと定義され、法は中国共産党が国を治める上での手段にすぎないと解釈できよう。