2015年7月、全国人民代表大会常務委員会は新「国家安全法」を採択し、即日施行した。もともと1993年に「国家安全法」が施行されていたが、習近平国家主席が2014年4月に「総体(総合)国家安全観」を提唱し、「国家安全」という概念を対外的安全保障と対内的安定維持、伝統的安全保障と非伝統的安全保障を含む広義の意味で定義した。旧法の見直しが余儀なくされたために、改めて政権、主権、統一、領土保全、福祉、経済社会の持続的発展の条件などの危険を排除し安全を保障するための法として制定された。自国主権を強く主張する南シナ海、東シナ海の海・空の防衛、経済利益の保護、新たなネット空間における外敵侵入からの防衛などが重視されている。さらには国内の不安定要因である反体制活動やデモやテロの取り締まり、とりわけ習近平に批判的な知識人、弁護士ら活動家や外国人の監視を強化する法整備に乗り出しており、そのために同「国家安全法」が採択されたとも読み取れる。改革派知識人の間で、締め付け強化に利用されるのではないかとの懸念の声がすでに聞かれる。