2015年11月24~26日、習近平中央軍事委員会主席は「中央軍事委員会改革工作会議」を招集し、大幅な軍事改革構想の提案とその推進を指示した。その要点は以下の通り。(1)従来の総参謀部(=陸軍中心)の指揮系統を改め、陸軍司令部を新たに新設した上で陸・海・空軍を一体的に運用するための「聯合作戦指揮機構の創設」を指示したこと。(2)「軍区」という概念を捨て、「戦区」によって中国の軍事力を高める。軍区という概念は現在のハイテク化した国際軍事情勢には適合しないと判断したこと。すなわち7大軍区制を廃止し、4大(あるいは5大)戦区に分けて、「陸海空軍+ロケット軍」を結合したこと。(3)習近平をトップにする中央軍事委員会と戦区の二つのレベルを結びつける意味からも上記の「聯合作戦指揮機構」の設立は重要である。これによって途中の指揮系統を省略して効率化を高め、軍全体を一体的に運用することができる。すなわち習近平を頂点とする「聯合作戦体制」を確立していくことである。加えて、中央軍事委員会内に紀律検査委員会、軍事法院、軍事検察院も設けて、腐敗の防止に軍事委員会が直接指揮できる体制にした。この軍事大規模改革は2020年までに完成させる予定だが、これによって東シナ海、南シナ海における主導権を確保し、アメリカに対抗できる軍事体制の確立を狙っている。