東南アジアの10カ国が加盟する地域協力機構。1967年にタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールの反共5カ国が、西側先進国との協力による経済発展と大国の内政への介入排除をめざして設立した。84年にブルネイ、冷戦終結後にベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加盟、地域のすべての国が参加するASEAN10が99年に実現した。ASEANは加盟国の経済発展を武器に国際社会での発言力の強化、地域の安定と一体化などに大きく貢献し、最も成功した途上国の地域協力機構とされる。アジア通貨危機後の97年からは日本、中国、韓国とのASEAN+3の首脳、蔵相、外相会議もスタートした。創設40年にあたる2007年の首脳会議は、15年のASEAN共同体実現などを盛り込んだセブ宣言を採択。さらに、ASEANの最高規範となるASEAN憲章に署名した。憲章は加盟10カ国の批准をへて、08年12月に発効し、ASEANはこれまでのゆるやかな地域共同体から、欧州連合(EU)と同様に法的枠組みに基づき法人格をもつ機構へと前進した。憲章は内政不干渉の原則を維持しつつ、民主主義の強化や人権監視機関の創設、地域統合の推進などを盛り込み、15年の共同体実現をめざしている。ミャンマーの民主化問題をめぐりASEANは欧米諸国から批判されてきたが、11年3月に発足した同国のテインセイン政権の改革路線を評価し、同11月の外相会議はミャンマーが14年に議長国に就任することを認めた。