東南アジア全域での核兵器の所有や開発、核実験の禁止などを定めたもので、1995年のASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議で調印された。東南アジア全10カ国が調印し、97年に発効した。条約は、域内への大国の介入排除のために結束した行動をとることをめざしたASEAN発足以来の基本精神の反映であり、ASEANはアメリカやロシアなどの核保有5カ国に対して、条約の尊重と締約国への核兵器使用、使用の威嚇を禁じた条約付属議定書への早期調印を呼びかけている。条約対象領域に締結国の経済専管水域が含まれていることなどから、核保有国は作戦行動上の障害になるとして調印を渋っている。中国は99年のASEAN拡大外相会議で、核保有国として初めて条件つきながら付属議定書に原則的に調印する意向を表明。その後インド、ロシアも条約への調印を考慮する発言を行ったが、いずれも調印には至っていない。アメリカは条約に不満を表明している。ASEANは2007年7月、同条約に関する初の閣僚会議をマニラで開催、条約の実効性を高めることをめざした今後10年間の行動計画を採択した。